移住者が一年高校生と関わって感じた「今、島に必要な教育」

こんにちは。いおんです。

ぼくは今、島で教育関係の仕事をしていて、高校生たちの大学受験をサポートしています。

 

受験を控えた高校生と一年間接していて、内地の高校生と違うことがありました。

それは・・・

 

医療関係を志望する高校生が多い!!!

 

医学部、薬学部、理学療法、放射線技師、など医療系の学部を目指す学生の割合が多いのです。

先日、島の高校生に向けてキャリア相談のイベントがあったのですが、参加していた職業を見て驚きました。

 

ほとんど医療系の職業なのです。

島にいると、なぜ医療系の職業が人気なのかは分かります。少子高齢化で医療が必要になる場面は増えていきますし、給料もよく、安定しているのですが、あまりにも選択肢の幅が狭いと感じます。

 

進学しても島に役立つ人は育たない

島には大学がありません。そのため高校を卒業すると、進学するにせよ就職するにせよ、島を出る子がほとんどです。島の人の中は、大学を出て内地で経験を積んで、将来島に戻って来て欲しいと考えている人もいます。

おそらく親戚にそう言われて島を出て進学した人もいるでしょう。

 

しかし、よく考えてみてください。

たとえば東京で進学したとします。東京で大学の友人ができて、周りに合わせてなんとなく就職活動を始め、東京の会社に就職します。東京での友人がさらにできて、彼女ができ、結婚して子供ができます。

いずれは島に戻ってこよう、なんて思っていたけど友達は東京の方が多くなってしまったし、仕事を辞めるタイミングも見つからない。妻と子供がいることを考えると東京の方が給料も高いし、いろんなものがあるから東京の方がいいかも・・・

 

と、島に帰るタイミングを無くしてしまいます。

つまり、進学したからと言って島の人が望むような結果は望めず、それどころか内地での人間関係が広がれば広がるほど島に戻ってくる可能性は低くなってしまいます。

 

島に戻ってくるにも仕事がない

結婚して子供ができて、子育ては島でしたい!と思い島に戻ることを本格的に考えたとしましょう。

島の求人情報誌を見ると、給料の額に驚きます。

それまで東京で手取り20万を超えていたのに、島に戻ると15万を下回る場合もあります。聞いたは、内地から島に戻って来たときに手取りの額が10万円下がったと言う人もいました

こんな額で本当にやっていけるのか?!

不安になりますよね。高校まで自宅で生活していた人は、月々の生活費なんて考えてもいないでしょうから、実際島で生活して1ヶ月にどのくらいかかるかも分かりません。多少島だと生活費が抑えられたとしても、本当にやっていけるのか不安になるでしょう。

給料の額が変わらないのは医療従事者です。求人情報誌で20万以上の高い金額を見つけると、だいたい薬剤師や看護師など医療関係です。島の人たちが子供を医療関係の仕事に就かせたいのは、このためだと思います。確かに医療関係はどこに行っても安定しているように見えます。

求人情報誌を見れば、求人はあるのです。しかし、内地から戻って来て、同じくらいの給料を出せるところが少ない。だから「島には仕事がない」と言われてしまいます。

 

仕事を作れる人になる教育を

これからは、仕事を作れる人になる教育が必要になるんじゃないでしょうか。

自分で仕事をつくり、価値を生み出すことができればどこに行っても仕事ができます。会社を起こしたり、起業することを言っているのではありません。月に3万円、5万円程度でも自分で稼げる能力があればいいのです。

そうすれば、たとえ島で就職して給料が15万になったとしても、自分で足りない分は補えます。ちょうど先日、政府が副業を解禁しました。

新卒から定年まで生涯1社で働く終身雇用の考え方が大きく変わろうとしている。政府は年度内にも、副業・兼業の事実上の解禁に踏み切る。国がつくるモデル就業規則の副業禁止規定を改定すると同時に、長時間労働を招かないよう労働時間や健康管理の指針を盛り込んだガイドラインの策定にすでに着手。来春、公開する見込みだ。

(引用:Business Insider Japan

 

今の時代は、ネットサービスを通じて副業がやりやすくなっています。500円から始められるココナラやECショップがすぐに始められるBASE、ツアーを企画できるTABICAもあります。

ぼくは高校生の頃から、この手のサービスを利用してお金を稼ぐ経験をしてみるのが良いと考えています。ココナラでは自分のスキルが誰にどう役に立つのか考えるきっかけになりますし、TABICAでは島の魅力を再発見することになるでしょう。

自分でお金を稼ぐ経験をしてから大学や就職を考えると、きっと自分に必要なものを見据えた上で選ぶことができます。もっと島に戻って来たときにどうするかイメージして、大学生活を送ることができるでしょう。

島に戻りたくても仕事がないから戻ってこれない、という人はたくさんいます。もし、その人が自分で仕事を作れたら。きっとUターンで戻ってくる人は増えるでしょう。そして自分で仕事を作る方法は、大学ではなかなか教えてくれないですし、企業に就職したとしても学べません。

どこかで自分で経験しなければならないことです。ぼくは高校生のうちに少しでも経験できるといいと思います。

今の時代だからこそ、できる選択肢が増えています。生き方も多様化し、今まで安定していると考えられた仕事がこれからどうなるか分かりません。どんな場所、どんな時にも価値をつくれる人を生み出す。そんな教育が島で広がっていけばいいな、と島に来て感じています。