近年、地域おこし協力隊など、地方で実際に働いてみる体験が増えています。
数ヶ月試しに住んでみることを試住と呼び、試住のための施設を用意している自治体もあるほどです。
今年から奄美大島に移住したぼくも、いきなり住むことを決めたわけではありません。
ぼくは去年の2月から3月、島キャンというプログラムに参加していました。
これは学生向けの島おこしインターンシップとなっていますが、社会人でも参加可能です。
もしあなたが都会での仕事に息苦しさを感じていて、将来は南の島に住みたいと思っているなら、このプログラムに参加することを強くオススメします。
もちろん数週間のプログラムなので、正社員の人はなかなか都合をつけるのが大変だと思います。
ですが、それでも覚悟を決めて参加すれば都会とは違った生き方が見つかると思います。
島キャンってどういうプログラムなの?
カケハシスカイソリューションズという、採用コンサルティングを主にやっている会社が開催しているプログラムです。
この会社はなかなか変わっていて、麻雀採用、入社式アトラクションという企画もしているおもしろい会社です。
今、ぼくは奄美大島で予備校のスタッフをしていますが、この予備校を運営しているのもカケハシスカイソリューションズです。
島キャンは、島おこしインターンシッププログラムと呼ばれています。
インターンシッププログラムなので、参加するのは主に学生です。
学生が春や夏、だいたい2週間くらいで様々な島の事業所に行き、就業体験をします。
島の役場や観光施設、塩作り工房や酒造なども就業先として選ばれています。
ただし、インターンシップなので就業先からお給料は出ません。
交通費、食費、宿泊費も基本的には実費で、かつ今回からは参加費もかかります。
就業先によっては宿泊場所があったり、まかないが出ることはありますが、基本的には出ないと思っていいでしょう。
「お金かかってお給料ももらえないのに、誰が参加するの??」
きっとほとんどの人はそう思うでしょう。
しかし、今まで739名の学生が参加しています。
動機はいろいろあるでしょうが、ぼくが思うに、今の若い人は自分が誰かの役に立てる場所を探しているんだと思います。
だから、お金を払ってでもその場所を探しに行く。
お給料とは違う価値を見つけに、これだけの学生が島を訪れているのです。
島キャンと言われるくらいなので、就業先は島です。
今は奄美群島がメインですが、隠岐之島や五島列島も就業先の候補にある季節もあるようです。
実際に島キャンで何をしたの?
ぼくは2016年の2月中旬から3月上旬まで、与論島の与論町役場商工観光課にいました。
ちょうどヨロンマラソンという島をあげてのお祭りの時期だったので、その運営のお手伝いが主な業務でした。
毎日8時半には役場に行き、マラソン大会に必要な制作物の作成、看板の設置を行い、夕方5時半には帰る。
そんな生活でした。
土日に休みはいただき、海に遊びに行ったり、島の人に飲みに誘われて行くこともありました。
(↑与論島で一番有名な観光スポット、百合が浜に向かう海岸)
(↑くねんぼ食堂の刺身。盛り付けが美しかった!)
ただ、マラソン当日は1000人近く参加するので、日が昇る前からお手伝いをしていました。
他にも与論民俗村の茅葺き屋根の修繕をお手伝いしたり、さとうきび刈りをすることもありました。
(↑与論民俗村の茅葺き屋根)
(↑春は島をあげてきび刈りシーズンです。)
ヨロンマラソンは島をあげてのイベントなので、関わる人も多く、島の友達がたくさんできました。
島の100人に一人は知り合いになったと思います。
先日与論島に行ったとき、島の有名な居酒屋、ひょうきんのおばちゃんが「この人、島の知り合い多いからもう島の人よ〜。」と言ってくれたのが嬉しかった。
ぼくは島キャンの就業期間が終わってもまだ3週間ほど与論島に滞在していたのですが、その間にも居酒屋でバイトさせてもらったり、青年団の人とお隣の沖永良部島に行ったり、浜での飲み会に誘ってもらったり、釣りをしたりと、とにかく充実した生活を送っていました。
(↑百合が浜に近い創作居酒屋、福家のまかない。何を頼んでもおいしいです。)
(↑沖永良部島に着いたとき。歓迎してくれました。)
(↑釣れたロウニンアジ。このあとバーベキューでいただきました。)
(↑ここで飲むビールは最高です。)
毎日自転車をこいで就業先まで行く。
都会の満員電車とは違います。
どこまでも続く青い空と、目の前に広がる言葉で言い表せないほど美しい海を見ながら進む。
気持ちいい風を感じながら「なんて自由なんだ。」と毎日思っていました。
帰りは月の明かりがないと、真っ暗で何も見えないような道を歩きます。
周りには畑しかないし人通りもない。
酔った勢いで大声で歌いながら帰った夜もありました。
そして空を見上げると、満天の星空。
自然の中で生活できていることがたまらなく嬉しかった。
この島キャンの体験を通じて、いずれ島に住むという夢ができました。
いずれ、と思っていたのがなんやかんやあって今年から奄美大島に住んでいるんですけどね。笑
これから島キャンに参加する人へ
もしあなたがこれから島キャンに参加するなら、覚えておいて欲しいことがあります。
島キャンは、一歩間違えればお給料の出ないリゾートバイトです。
日々の業務に追われて、あっという間に就業期間が終わってしまいます。
それもそのはず。
島の人は何をすればいいか分かっていないのです。
「インターンシップ?何それ、新しい船の名前?」
そんな人がほとんどです。
極端な言い方をすれば、
「忙しいときに都会から大学生が手伝いに来てくれて、バイト代出さなくていいの?ラッキー!!!」
という感じです。
もちろん、そういう気持ちで受け入れる人はいないでしょう。
ですが、都会から来る大学生にどんなことをさせればいいのか分からない人は多いと思います。
言われたことをするだけでは、2週間はあっという間に終わってしまいます。
せっかく島に来たのだから、海や自然を楽しむのはもちろん、島の人と会い、話し、暮らしや価値観に触れてみてください。
都会で今まで当たり前と考えていた暮らしは必ずしも正解ではなく、他の生き方もあることを知れるはずです。
それに、無給で働くことはメリットもあります。
受け入れ側は、タダ働きをさせてしまっていることに多少なり申し訳なさを感じていると思います。
タダでも手伝ってくれるという大学生に、なにかしら島でのいい思い出を作って帰ってもらいたいと思っているはずです。
なので、きっと快く島のことを紹介してくれるはずです。
ぼくは与論島で、お祝い事に参加させてもらうこともありましたし、夜中の漁に連れて行ってもらうこともありました。
島では当たり前のことも、都会の人には珍しいことがたくさんあります。
そういった魅力に気づいたら、発信してみてください。
たとえばあなたがTwitterやInstagramなどのSNSを使って島のことを発信したとします。
たくさんの人から反応が来て、友人が島に行ってみたいと言ってくれたら、それは島にとってとても価値のあることになります。
大学生でも島に貢献できることはきっとたくさんあります。
思う存分、あなたのできることを発揮して、島の役に立ってください。
たとえお金が稼げなくても、島の人からの信用を稼いでいる実感ができると思います。
そしてこの信用を稼ぐことこそ、これからの時代を生きるヒントになるはずです。
“信用を稼ぐ” ことを詳しく知りたい人は、リンクの記事を読んでみてください。
キンコン西野「信用は現金化できる」 ホームレス芸人・小谷がお金に困らない理由を分析
そんな島キャンですが、実は説明会が今週末にあります。
「告知がおせーよ!」
という声が聞こえてきそうですね。
そうですね。ごもっともです。
東京も大阪も、27日の土曜日に説明会が行われます。
学生はもちろんですが、社会人でも参加可能です。
そしてぼくは、これからの生き方を考えている社会人にこそ参加して欲しいと思っています。
地方は仕事がないというけど、人手は足りていません。
仕事は与えられるものと考えている人には生きにくいかもしれませんが、仕事はつくるものと考えている人にとっては、島はとても楽しいフィールドになると思います。
広い空の下、透き通る青い海を見て風を感じながらの生活は、心を穏やかにしてくれます。
離島ぐらし、試してみませんか?