こんにちは。いおんです。
最近、観光地でのドローン飛行が問題になっているのをご存知でしょうか。
この問題は奄美大島も今後増えてくると思います。外国人の観光客はまだそこまで多くはないですが、LCCが飛び、大河ドラマの西郷どんでも注目されている奄美大島。今年は確実に観光客が増えると予想されます。
島でドローンを飛ばしたいと思っている人もきっと多いでしょう。
まだ島でのドローン飛行について明確なガイドラインがあるわけではありません。ですが、島の人もきっと観光客のドローン飛行に困惑することがあるでしょうし、観光客の人もどこで飛ばしていいか気になっているはずです。
ぼくは奄美大島でドローンを飛ばし、毎日のようにInstagramで動画をアップしてきました。国土交通省の許可を得て飛ばしていますが、迷惑をかけてしまったことや失敗したことがあります。
ここでは、そんなぼくの経験をもとに奄美大島でのドローン飛行のガイドラインを作成しました。このガイドラインは条例として定められたものでもありませんし、完璧なものでもありません。ひとつのたたき台として島のドローン飛行について考えるきっかけになればいいと思っています。
ちなみに今見ると、Instagramにはガイドラインに沿っていないように見える動画もありますが、そういった経験を踏まえてガイドラインを作成しているということでご了承ください。
なお、ドローン飛行についての質問がある人、ガイドラインにご意見がある人、追記して欲しい内容がある人はお問い合わせフォームからご連絡ください。
そもそもドローンの法律ってどうなってるの?
島の人は、そもそものドローン飛行の法律がどうなっているか分からない人も多いでしょう。まずは国土交通省が定めているドローン飛行の法律についてご説明します。
ドローン飛行の法律が適用されるか否かは、機体の重さが200g未満か以上かが関係しています。200g未満のドローンであれば墜落しても被害は少ないと考えられているため、これから説明する法律は適用されません。
200g以上の機体が飛行できるのは下の図の飛行可能と書かれた区域です。
(国土交通省ホームページより)
空港周辺ではなく、人口集中地区の上空でもなく、地表からの高さ150m以下の空域です。
また、どのような場所であれ以下のルールを守ることが義務付けられています。
[1] 日中(日出から日没まで)に飛行させること
[2] 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
[3] 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
[4] 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
[5] 爆発物など危険物を輸送しないこと
[6] 無人航空機から物を投下しないこと(国土交通省ホームページより)
上記の場所で飛行させる場合、あらかじめ地方航空局長の承認が必要になります。ちなみにぼくは地方航空局長の許可を得ているため、夜間でも飛行させることができますし、目視できないところへの飛行も可能です。人や建物から30m以内を飛ばすこともできます。
平成31年2月28日までは全国どこでも飛ばしていい許可を得ていますが、それでも空港周辺や市の条例で禁止された場所での飛行はできませんし、イベント時の飛行は別途許可が必要になっています。
これが国の航空法で定められたドローン飛行のルールです。
奄美大島のドローン飛行禁止区域はどこ?
では、具体的に奄美大島ではどこが禁止区域になっているかご説明しましょう。
空港周辺と、人口集中地区の名瀬の町上空の飛行が禁止されています。
空港周辺の地図をアップすると、このようになっています。
土盛海岸や奄美パークは禁止区域になっています。あやまる岬、原ハブ屋辺りまで行くと禁止区域を外れますが、空港に向けての飛行は注意が必要です。
では次に、名瀬の町の周辺を確認します。
赤いところが禁止区域です。空港から名瀬まで走って来た場合、回転寿司のまんてん辺りの上空から禁止区域になります。和光町から来た場合、和光トンネルを抜けたら禁止区域です。そこから長浜のトンネルと、瀬戸内町に向かう58号線の最初のトンネルまでは禁止区域になります。
これ以外の場所では、人や建物から30m以上の距離を保ち、地上150m以内で日中、目視できる範囲であれば許可がなくドローンの飛行ができます。
詳しい地図を確認したい人は、こちらのページから確認してください。
奄美大島のドローン飛行で注意して欲しいこと
法律上では上記の場所が禁止されていますが、それ以外でも奄美大島でドローン飛行を行うときに注意して欲しいところがあります。こちらは随時更新していきますので、飛行されるときには確認をしてから飛ばすようにしてください。
また、私有地の上空を飛ばす場合は地権者の了承、撮影許可を得ることを前提としてください。
パラグライダーやドクターヘリが飛ぶ
奄美大島では、パラグライダーサービスを提供しているところがあります。HAPPY SKYさんとフットランチアマミさんです。天候にもよりますが、あやまる岬やハートロックのある海岸、島の最北端でパラグライダーをしていることがあります。
高度は150mまで飛ぶらしく、ちょうどドローンの飛行空域と同じです。ドローン飛行をするときにパラグライダーを見つけたら、ぶつからないよう細心の注意を払って飛行してください。できれば時間をずらすか、サービスを提供しているところに確認を取ってから飛行するのが良いと思います。
他にもドクターヘリが飛ぶことがあります。島の南部や加計呂麻島から名瀬にドクターヘリが飛ぶことは結構あります。ドクターヘリの飛行高度は分かりませんが、もし飛行中にヘリの音が聞こえたら高度を下げるようお願いします。
他にも自衛隊の飛行機が飛んでいることもあります。上空に飛ぶのは飛行機だけと思わず、他のものとぶつからないように気をつけて飛行させてください。
露天風呂がある
露天風呂があるホテルがあります。露天風呂に入っているときにドローンの音が聞こえたら・・・たとえ盗撮しているわけでなくても気になりますよね。せっかく温泉でリラックスしているのに台無しです。
露天風呂があるホテルの周辺では飛ばさないようにしてください。もし飛ばす場合は、ホテルに確認を取り、人がいない時間を選んで飛行させてください。
奄美大島で露天風呂があるのはこの3つです。
ぼくも月一で入りにいくほどお気に入りの場所です。5階の露天風呂からは名瀬湾が一望できます。朝6時から夜の11時までやっています。露天風呂は天井が完全にないので、ドローンで撮ってしまうと完全に盗撮になります!
薬草を使った露天風呂があります。露天風呂と言っても、安心のために壁で囲われているので景色はあまり見えません。ですが、ドローンで撮影すると映ってしまう可能性があるので注意が必要です。
平日と土曜日は15時から21時、日曜日は13時から21時までで月曜が定休日です。月曜日か午前中であれば問題なく飛ばせます。
奄美大島で唯一の天然温泉です。宿泊者しか入れませんが、波の音を聞きながらの温泉は最高です。7時から夜中1時まで入れますので、日中に周辺をドローンで飛ばす場合には確認が必要です。
イベントや撮影をしている場合がある
奄美大島のホテルや公園では、結婚式を行なっていたりテレビや雑誌の撮影をしている場合があります。最近では大浜海浜公園でドローンを飛ばす場合は事前に許可が必要になりました。結婚式などのイベントや撮影で使われることが多く、予定がバッティングしないために事前の申請が必要になったようです。隣接している海洋展示館で書類を提出すれば許可が得れます。
他にもホテルでイベントや撮影を行なっていることがあります。ぼくも以前、あるホテルで撮影が行われていることを知らずにドローンを飛ばしてしまい、ご迷惑をおかけしてしまったことがあります。
許可がいらない地域といえど、ドローンが映り込んでしまうとまずい場合や、音が迷惑になることがあります。近くの施設には念のため確認を取ってから飛行するのが無難かと思います。
騒音問題の配慮
ドローンを飛ばすと、結構大きな音がします。機体によっては、100m離れていても音が聞こえるほど大きな音です。普段静かな集落に住んでいる人が聞けば、「何事か?!」と驚くでしょう。
島は波の音や風の音、鳥の声しか聞こえない良さがあります。ドローンの大きな音が聞こえると、まるで家の近くをうるさいバイクが通ったような不快感を感じる人もいると思います。
とはいえ、集落周辺で飛ばすときに一軒一軒訪ねて許可を取っていくのは現実的ではありません。なるべく集落の人の迷惑にならないよう、少し離れたところから飛ばして、集落に近づきすぎずに迂回して飛ばすのが良いと思います。
この点に関してはまだまだ協議の余地があると思っていますが、ぼくが考える限りもっとも現実的な方法かと思います。幸い島は集落と集落の間にある程度距離があるので、誰もいないところから飛ばすのは難しいことではありません。
奄美群島国立公園内の飛行について
平成29年3月7日、奄美群島国立公園が誕生しました。
このことを受け、環境省には国立公園内でのドローン撮影についての問い合わせが増えているそうです。
確認したところ、国立公園だからと言ってドローンの飛行が禁止されているわけではありません。ただし、マングローブ原生林や金作原原生林、湯湾岳など特別保護地区に指定されている場所の植物を傷つけてしまうと問題になります。
ドローンを飛ばしていて一番怖いのは何かに接触することです。なので、操縦者がむやみにドローンを木々に近づけることはしないと思いますが、自然公園法で木々の損傷が規制されています。プロペラで木を傷つけてしまわないよう気をつけてください。
特別保護地区がどこかは、環境省のホームページにあるPDFで確認できます。
奄美大島でドローンを飛ばすのにオススメの場所
いろいろと制限があるドローン飛行ですが、それでも内地に比べたら飛ばしやすいのが島のいいところです。観光で来られた人はどこかで飛ばしてみたいと思っているでしょう。
そんな人のために、ぼくがオススメするドローン飛行ポイントをお伝えします!
笠利崎灯台
奄美大島の最北端に位置する場所で、夢をかなえるカメさんがいます。
ぼくが撮影したドローンの写真はないのですが、周りに建物がないですし、人も少ないので飛ばしやすいです。灯台という被写体がある点でもドローン撮影が面白くなると思います。
大熊展望台公園
名瀬市街地から車で15分ほど走ったところにある展望台です。ここからはちょうど名瀬の町が一望できます。海と町全部を映すことができるので、ドローン撮影にはとても良い場所だと思います。
宮古崎
大和村にある場所で、通称「ササント」。今年の太河ドラマ「西郷どん」の撮影でも使われた場所です。オープニングでは主演の鈴木亮平が歩いているところをドローンで撮影されています。近くの国直集落から歩いて30分ほどかかりますが、笹でいっぱいの宮古崎は奄美大島の中でも有数の絶景ポイントです!
マネン崎展望台
瀬戸内町の古仁屋から車で5分ほど東に行った場所にあります。清水集落と嘉鉄集落の間に位置する展望台で、最近整備されて綺麗になりました。ここから見える嘉鉄の海はシュノーケリングやダイビングでよく使われる海で、嘉鉄ブルーと呼ばれるほど海が青く綺麗です!
西古見観測所跡
奄美大島の西の果てにある西古見集落。瀬戸内町古仁屋からさらに車で1時間以上かかりますが、晴れていれば夕日が綺麗に見えるポイントです。海に三連立神と呼ばれる3つの小島が浮かんでおり、ドローンでの撮影のしがいがあります!
実久海岸
加計呂麻島のもっとも西にある集落で、実九ブルーと呼ばれるほど綺麗な海が広がる集落です。上の写真のように、サンゴ礁の様子がドローンではっきりとわかります。集落ではありますが、奥に堤防があり、そこから飛ばせば集落の人にも迷惑がかからず飛ばせると思います。
ドローン飛行について皆さんに伝えたいこと
最後に、それぞれの立場に皆さんへぼくが思うことをお伝えします。
観光で来てドローンを飛ばしたい人へ
ようこそ、奄美大島へ。ぜひ、ドローンで綺麗な風景を撮影して奄美の良さを伝えてください!
ひとつだけ考えていただきたいのは、その場所には人が静かに暮らしているということです。
ドローンの機能は充実していて、めったなことでは落ちないのはぼくも知っています。ですが、落ちることもありますし、ドローンは危険なものと思っている人も島にはいます。
島の人が「最近、ドローン飛ぶこと多くなって迷惑してる。」と思われてしまうとぼくも心苦しいです。観光で来た人も島の人も安心してドローンを受け入れられる環境を作るため、ご協力をよろしくお願いします。
もし、ドローンの撮影について質問があればいつでもお問い合わせください。
島に住む皆さんへ
ドローンの性能は今はとても上がっています。機体にもよりますが、ぼくが持っているドローンはコントローラーを触らなければその場に止まっていますし、風で煽られてもGPS機能でもとの場所に戻ろうとします。ぶつからないように障害物を検知し、自動でストップする機能もついています。
今はまだプロペラのモーター音がうるさいですが、音を小さくするための技術も発展しています。ただし、音は完全にはなくならないと思ってください。スマホのカメラと同じで、無音になってしまうと盗撮問題になりかねませんので、ある程度の音は必要なのです。
今回書いたルールや撮影を控えてほしい場所、オススメポイントはぼくの経験から判断したものです。
「うちのホテル周辺もドローン飛行は控えてほしい。」
「集落周りで飛ばす時には、ここを注意してほしい。」
「ドローン飛行でこんな困ったことがあったが、なにか対策はできないか。」
「勝手にオススメポイントにしないでくれ!」
などご意見はあると思います。
ぜひ、お問い合わせフォームからご意見をください。このガイドラインをたたき台として、一緒に作っていければと思います。
ドローンは今まで以上に島の魅力を伝えてくれるものです。これから物も運べるようになれば、離島に荷物や薬を運べるようになりますし、海難救助にも役にたちます。新しいものは受け入れらないことも多いですが、どうか寛容な気持ちでドローンを見守っていただければと思います。
島でドローンを飛ばしている人へ
奄美大島でドローン撮影をしている人は最近増えてきました。皆さんそれぞれ、撮影にあたっての注意点や自分なりのオススメポイントがあると思います。
ここに書いてあることで、もっとこうした方がいい、ここも飛ばしやすいよ、などありましたらお知らせください。一緒に島でのガイドラインを作ってくれる人も募集しています。
役場の観光課の人へ
他の地域で外国人のドローン撮影が問題になっています。LCCが飛び、外国の人も来やすくなった奄美大島も無視できない問題になってくると思います。
島の人も、観光で来た人も安心してドローンを飛ばせるようにパンフレットやホームページを作りませんか?空港や観光案内所で置くパンフレットと、英語や中国語で書かれたページがあればいいと思います。
必要だと感じたらいつでもご協力しますので、ご連絡ください。