学校も役場も休みの一大イベント!与論島の海開き “浜下り” に参加してきた

与論島の “浜下り” に行ってきました!

 

奄美群島では、旧暦の3月3日が海開きなのです。

内地ならやっと桜が咲いたくらいやのにね。もう海開きだって。

季節ひとつぶっ飛ばしてるやん!

 

 

ちょうど一年前、与論島に滞在していたときに浜下りについて聞いたことがありました。

「浜下りの日は、学校も役場も休みになって昼から海に入って漁をして、浜でみんなで宴会をするの。」

 

 

なにそれ!?楽しそう!!!

 

去年の浜下りは残念ながら滞在中ではなかったので、奄美大島に移住したら絶対与論島の浜下りに行こうと決めていました。

今年の浜下り、旧暦の3月3日は3月30日!

 

船に乗って与論島に行ってきました。

 

そもそも浜下りって何?

調べてみると、鹿児島や沖縄の文化のようです。

 

日本における旧暦は太陰太陽暦であり、旧暦3月3日は常に干満の差が1年間で最も大きい大潮になる。この日の干潮時には、海浜や干瀬が最も広がるため、海岸に出かけて魚貝類を捕ったり海草を採る風習がある。また、ご馳走を持って(あるいは神仏に供えて)、海浜に出かけ、(特に女性が)手足を海水に浸して身を清めて健康を祈願するという風習もある

(引用:Wikipedia)

 

場所によって微妙に風習が違うみたいで、奄美大島では新生児の女の子の足を海に浸します。

そうしないと、カラスになるんだって。

 

与論では男の子も女の子も、去年の浜下りから今年の浜下りまでの一年の間に生まれた子は、みんな健康を祈願して足を海に浸します。

 

与論島ではこの日の昼からは学校も役場も休みになるけど、奄美大島の名瀬では休みになることはないです。

だけど南の瀬戸内町では休みになるらしい。

 

地域によってやり方が少しずつ違うみたい。

 

呼び方も、「浜下り」というところもあれば「サンガチサンチ」というところもあったりして、島によって文化が少しずつ違うところが奄美群島のおもしろいところやなぁと改めて思う。

 

では、なぜこの旧暦3月3日が海開きなのか。

そもそも浜下りとは、どういう日なのか。

 

与論島の人に聞いてきました。

 

引用にもあるように、旧暦の3月3日は一年でもっとも潮が引く日です。

島のように海の恵みを存分に受けている地域にとっては、この日はとても有難い一日。

だから元々は大漁や豊年を祝う行事だったようです。

 

そして与論島はとても先祖への感謝を大事にしている島なので、先祖への感謝、家族への感謝、新生児のお祝いと、とにかくもういろいろ混じったありがたーい大切な日なのです。

お盆もひな祭りもこどもの日も全部ミックスしたような日よね。

 

こういうお祝い事のときは、昔は数日前から体を清めて緊張感を持った状態でいたようです。

穢れを払い、お祝いの日を迎える。

そしてこの浜下りの日に神様や先祖に感謝して、お供え物をします。

 

終わったらお供え物をおすそ分けしてもらい、神様の力を体の中に入れるという日だったみたい。

ずっと緊張した日が続くから、緊張が解けて終わったときは宴会になっていたようです。

 

今は宴会がメインみたいになっちゃってるけどね。

 

ちなみにこの辺りの説は、聞く人によってもいろいろだと思うので違ってたらゴメンなさい。

 

浜下りに参加させてもらいました

さて、実際の浜下りがどんな感じだったかお伝えします!

 

その日は、ランチはやっていないお店や、早めに閉まる案内が出ているところもチラホラ。

12時過ぎには役場の人も帰っている様子が見られました。

 

 

近年の浜下りは、新生児の健康を祈願する日となっています。

なので、まずは子どもが生まれた家は家族みんなで浜に行き、子どもの足を海に浸して健康を祈願します。

 

そのまま沖に出て海の幸をとって、その家族がホストとなって宴会の準備をします。

 

みんなが沖に出ている間は、車で島を一周してみました。

 

 

こちら、皆田海岸。

写真に映っているのは皆田離れといって、普段は船に乗らないと行けないような場所なんです。

 

だけどこの日は潮が引いていて、歩いても渡れるくらいでした。

写真にも映っているように、こどもたちが離れに行って遊んでいた。

 

 

 

これも浜の様子。

普段が分からないだろうけど、景色が変わるくらいに潮が引いていました。

結構沖まで出てる人もいた。

 

 

さて。

夕方になりました。

 

今回は与論島に住むご家族にご一緒させてもらいました。

 

 

ていうか、俺、部外者すぎない?!

 

「ご一緒させてもらいました」とかサラッと言ってるけど、お祝いしに行くご家族に縁もゆかりもないよっ!

なのに突然お邪魔して、お酒もらってご飯ご馳走になるなんて!!!

 

「お前誰やねんっ!」ってならないかな??ドキドキ・・・

 

 

でもそれが許されて、迎え入れてくれるのが与論島のいいところ。

 

あ、ちなみにお祝いは包んで行きました。

ひと家族につき1,000円。

もしくは島の黒糖焼酎、島有泉一本。

 

 

安っ!!!

 

あれ?俺が島の人じゃないからこの金額やったのかな??笑

でも島の人も島有泉一本をお祝いに持って行ってたから、きっと同じくらいなんやと思う。ドキドキ・・・

 

ちなみに与論島は、結婚式のお祝いでも数千円なんだって。

一応・・・郷に入れば郷に従えの気持ちで、しきたりに従いましたよ。

 

 

到着すると、浜で宴会の準備が行われていました。

 

 

いいよね!この感じ!!!

これを体験したくて来たので、めちゃくちゃ嬉しかった。

 

 

一人一人にご飯と、

 

 

ヤギ汁!!!

獣臭くて、嫌いな人も結構いるらしいけど、これはとても美味しかった。

全然臭くなかったです。

 

ちなみに漁でとれた獲物はコチラ。

 

 

奥にティダラという貝がめちゃくちゃたくさんとれてた。

 

これ、美味しいから奄美に来たらぜひ食べてみてね。

ちなみに奄美大島ではトビンニャと言います。

 

当然のように与論献奉もやって、次の場所へ行きました。

 

 

別の海岸に行くと、2組宴会してました。

今回は奥の方にお邪魔して、またご馳走をいただきました。

 

 

浜で飲むってめちゃくちゃ美味しい。

 

ただ、こういう祝いの席に行くと思うけど、島の女の人ってホントにすごいと思う。

ずっと飲まずにご飯の準備とかたくさんして、最後まで片付けして。

 

まさに “奥様” って感じがする。

すごいよね。島の女性には頭が上がらない・・・

 

 

この日は結局3組回らせてもらいました。

多い人だと、7組くらい回ることもあるそうな。

 

全部回り終わったのは9時半くらいだったけど、最終的にどうやって帰ったか分からないほどでした。笑

 

島ならではの文化を体験して思うこと

島の文化は、当然だけど島ならではの歴史があり、島ならではの暮らしがある。

 

今回の与論の浜下りも、ただ単に海開きで「今日から海に入れるぜ!やったー!」みたいな意味じゃなく、海が開けてたくさんの海の幸にありつける感謝からきた文化なんだと感じた。

 

潮が引いて海面が下がって、海面が見えたいつもと違う与論の海をみると、”海開き”という言葉は “海が開ける日”という意味があるのかな、と思った。

また、ひとつの文化でも島によって微妙に違うところは奄美群島の面白さだな、と改めて気づいた。

せっかく島にいるんだからね、こういう文化はもっと体験して発信できたらいいな。

 

そして今回、まったく関係ない僕を受け入れてくれた島の皆さん、本当にありがとうございました。

おかげでいい経験ができました。

 

みっしーく、とーとぅがなし!

(与論島の言葉で「ありがとうございます」という意味)